皆さんは、炎症性腸疾患(IBD)って知ってますか?
今は元気な我が家の大御所、蔵之介ですがこの時ばかりはもう駄目かと思う毎日でした。
蔵之介が重度のIBDと診断されたのは2016年3月です。
当時8歳で前日の夜までいつもと変わりなく、晩御飯をたいらげて、いつものようにガムを欲しがり与えた時に異変がありました。
本人はガムを食べたい!すごく食べたい!
だけど、進まない。
いらないかと思って取り上げようとすると、怒って噛み付く。
いつもなら、喜んで食べるガムをこの日は結局食べることが出来ませんでした。
家内とこんな日もあるさ。
もし、明日も続いたら、虎次郎の去勢手術があるから病院で診察してもらうと話して様子見をしようとなりました。
それが3月10日のことです。
その日の深夜3時頃、嘔吐。
ほとんど嘔吐しない子なので、やっぱり調子が悪い?
翌朝、嘔吐から時間が経っているのとご飯を欲しがるのであげました。
すると、食べるのにかなりの時間がかかって1時間後には嘔吐しました。
虎次郎の去勢手術で病院へ行くついでに診てもらうのが、やはりいいということで通常ならここで半日以上は様子見するところ、一緒に病院へ。
この判断は後に良かったことになります。
腹部超音波検査の結果、1)胃内食渣貯留 => 胃停滞、2)腸管(特に十二指腸)にコルゲートサイン=>炎症、浮腫、腫瘍性変化、線状異物など、3)腸管周囲低エコー所見、所属リンパ節腫大認める。=>すい臓腫大の可能性(現時点では血液検査SPEC陰性)、=>炎症マーカーCRP軽度上昇
状況により更なる精査が必要になる場合があります。
今回は腸管、すい臓、他疾患(免疫)の関与が疑われます。
動物病院から頂いた経過表に記載してあった内容です。
この時、先生からは胃が動いていない、食べたものが消化されていない。十二指腸も蠕動運動(ぜんどううんどう)がない、確かこの時私が思ったのは、心臓以外の臓器が動いてないような解釈をして絶望感が襲ってきたのを憶えています。
この時点では判断はつかないので治療も、点滴や制吐剤、鎮痛剤、抗生剤を投与。
朝一番に診察に行ったので、そのまま夜まで病院に預けて帰宅。
虎次郎の去勢手術が行われたので、夜にふたりとも引き取りに行くことになりました。
夜に再度超音波検査
相変わらず胃には食べ物が残っています。十二指腸も駄目、改善はされていませんでしたが一旦は帰宅しました。
Contents
翌日(3月12日)に入院
メモによると、元気なし、CIBDAIスコア10(重度)、CT検査と内視鏡検査実施、体重5.45kgと書いてあります。
この時点では正式な病理組織診断は出ていませんが、このまま結果を待っていると手遅れになる可能性がかなりあると説明を受け、この時点で重度なIBDの可能性が大であること。
診療方針をIBDとして行うことが決定。
蔵之介は、ここから入院治療が始まります。
家に家内と帰ってきて、涙しました。
IBDを発症するのは、食事、ストレス等が考えられるのですが、虎次郎を我が家に迎えて1ヶ月でのIBD。
虎次郎の迎え方が悪かったのか、相当のストレスを蔵之介には掛けてしまったのは確かだと思います。
通常、それでも慣れるのがほとんどだと聞いてましたが、蔵之介は自分たちのせいで病気になってしまたと後悔したことを憶えています。
ただIBDとの闘病の間、虎次郎の存在が私たち夫婦を助けてくれたのも事実。
虎次郎の去勢手術がなければ病院に行くのが遅れていて手遅れになっていたかもしれません。
まるで、虎次郎の手術日に合わせるように発病して、身体の不調を一生懸命訴えたのかと思う蔵之介の行動でした。
さぁ、今から死の淵を彷徨った蔵之介の闘病記が始まりますが、
病院から頂いたメモを見ながら思い出して書いていくのですが、私ではわからない専門用語や記憶が曖昧な点も多々ありますのでご容赦下さい。
3月13日
メモには元気なし、食欲なし、気持ちが悪い様子。下痢(泥状便)治療反応乏しい 体重5.8g
入院した日には下痢はしていませんでしたが、先生からはもうすぐ下痢も始まりますと聞かされていたので、なぜか驚きはしませんでした。
この日から投与した薬の中にホルモン剤(プレドニゾロン)と免疫抑制剤(シクロスポリン)での治療が始まりました。
毎日1回は二人またはどちらかが、蔵之介には会いに行ってます。
元気はホント無いのですが、一生懸命帰りたいアピールをしていたと思います。
虎次郎も一緒に連れて行ってたのですが、蔵之介の姿を見て心配そうにしていたと思います。
3月14日
メモには下痢重度(水様性) 血液検査ALB 2.4 治療反応乏しい 体重5.85kg
超音波検査:胃内液体貯留、蠕動なし、やや肝臓流入する血管怒張
3月15日
体重5.5kg
治療反応が乏しいので、免疫抑制剤(シクロスポリン)を経口薬からCRI(持続定量点滴)に変更しています。
その晩の検査では「やや腸管蠕動あり?」と書かれていますので少しは効いたってことでしょうか。
3月16日
体重5.32kg
メモには前日は絶飲食でしたが、クリニケア10ccずつ開始(1日3回)と超音波検査の結果に蠕動あり(正常より劣る)リンパ節縮小傾向と書いてあります。
3月18日
メモには体調安定、シクロスポリン濃度326ng/ml、超音波:胃腸ともに蠕動良好 体重5.1kg
免疫抑制剤(シクロスポリン)を経口薬からCRI(持続定量点滴)を終了
確かこの時は先が見えた気がしてホッとした感じだった気がします。
3月19日
体重5.04kg 体調安定
食事がウエットフード(現在食べているセレクトプロテイン1日100g)
完食!
超音波:朝胃内液体貯留→夜停滞なし
この時はシクロスポリンの効果が出て回復してると思っていました。
3月20日
体重5.02kg 体調は安定
3月21日
体重4.7kg
体調悪化なし、胃内やや貯留、蠕動あり
3月23日 退院
体調も安定していているので、退院して定期的に診察することに。
次回は27日を予定していたみたいです。
その日の夜、床にドサッとする蔵之介の毛が落ちていました。
見ると右後ろ足の部分の毛が抜け落ちている!
3月24日
抜けた毛も気になるので、病院に連れていきました。
食欲もあり元気だったので、治療して舐めないようにエリザベスカラーを付けて帰宅。
3月25日 再入院
帰宅した翌朝に大量嘔吐しました。
朝一に病院へ。
メモには、粘膜表面横断症状と書いてあります。
超音波検査:腹水増加、肝臓実質高エコー、胆嚢浮腫
血液検査:白血球高値、肝数値上昇
超音波下において腹水量は増えていないが、吸収も遅い。
胃や腸管の蠕動あり、液体は流れている。
どう考えても、悪い状態だと私でもわかります。
これ以降、一進一退を繰り返します。
注射による治療も限界です。
注射の打ち過ぎで皮膚炎も進行して、血管も限界。
体重も4.3kgと激減。
4月2日 退院
食べも悪いが、心配されていた腹水が超音波検査では消失。
胃・腸、胃内の動きはあるが、腸管蠕動低下。
この時は、蔵之介の為にも自宅に帰らせてみようとなる。
なにより、自宅が安心する場なので、翌日から朝(9時)から診療終了時間(20時)まで病院で診てもらい、家に帰れる安心感を与える。
ただし、朝ごはんは家で食べるのだが、この時は蔵之介自身は食欲が無いので、注射にご飯(ペースト)を注入して強制的に口に入れるのだが、これが大変。
嫌がる嫌がる、多分病院では受け入れているのだろうけど、家では甘えがどうしても出るので「うぅっうぅっ」と唸り、頭を振り、かなり苦労しました。
苦労しましたが、生きて生きての思いが全てでした。
家では元気はないものの、動き回るときが結構あります。
まるで、自分の家最高!と言ってるように動き回ります。
虎次郎もこの時は「かまって、遊んで!」は殆どしてなかったと思います。
4月5日 転機
はっきり言って、蔵之介は生死を彷徨っていました。
体重は3.88kgになっていました。
これ以上の治療をするかしないかも悩みました。
ここまでで十分とも思いました。
胃や腸の動きはあるみたいですが、一部は炎症。
肝障害、肝数値以前高値示し、ビリルビンの再上昇を認める。肝性黄疸
どう診ても末期です。
そこで担当の先生からの提案があったんです。
今まで使っていた免疫抑制剤のシクロスポリンとステロイドを止めて肝障害緩和に期待をして、胃腸の免疫抑制にクロラムブシルを使用するという治療方針です。
このクロラムブシルは抗がん剤の一種です。
どうも通常は使わないようです。
シクロスポリンが第一選択ならランク外のこの場合は薬らしいです。
ここで私は聞きました。
「延命治療ですか?」と聞きました。
すると先生は
「延命ではありませんよ。治療です」
と言い切りました。
この治療方針で蔵之介が助からなくても先生を恨むことはありません。
飼い主が諦めかけていた状況でのあの一言は、私達にはかなり効きました。
先生は諦めていなかった。
これが嬉しい。
無論、このクロラムブシルの副作用も考えられますが、蔵之介にもう少し頑張ってもらうことになりました。
家では「水」は自由に与えられなかったので、時間を決めて上げていました。
また、服用している薬には免疫抑制剤(抗がん剤)があるので、蔵之介と虎次郎の水は分けてあげていました。万一、虎次郎が飲んで薬の免疫が出来てしまうと、いざ虎次郎に薬が必要になった時に効かないようになってしまうこと恐れたからです。
段々と蔵之介も虎次郎も慣れてきて、水が欲しくなると水皿を置いてある棚の前でおすわりをして訴えるようになりました。
排泄物も出来るだけすぐに片付けて、虎次郎に影響が出ないようにもしていました。
私は自営で住まい兼用なので出来たことです。
家内はパートで昼まではいないので、午前は私の担当、午後から家内が担当していました。
このことは、7月頃まで続く話です。
そして、我が家に奇跡が起こってくれました!
徐々にではありますが、蔵之介の状態がよくなってきたのです。
吐くこともなく、ご飯も徐々に自分で食べるようになり、体力が戻ってきたではありませんか!
家内は「骨川蔵之介くん」と言いいながら喜んでいました。
ほんと、骨と皮だけになってしまっていました。
この後、蔵之介は体重も7月には5.8kgまで回復。
現在は6.7kgになりました。ご飯は1日4回に分けて療法食を食べています。
1回の量が30gですから体重からすると少ないんですが健康です今は。
血液検査の結果も高かった数値は下がり、もう薬を飲まなくても大丈夫にまで回復しました。
発症から約4ヶ月後の7月15日に抗がん剤投与終了
ようやく、蔵之介と虎次郎の水皿を床に置くことが出来ました。
IBD(炎症性腸疾患)は完治しません。
いつ再発するかも分かりません。
けれど、付き合うしかないんです。
あれから2年、蔵之介は頑固爺になりましたが元気です。
虎次郎は蔵之介のボディガードだと思っています。
この治療にはかなりの金額がかかりましたが、ペット保険に加入していたので負担軽減できて助かりました。
ペットがいざ病気になると経済的負担がかなり掛かるんだと実感しました。
読み返しても、上手く書けていません。読みづらくてすみません。ですが記録に残させて下さい。解釈が間違っている場合もありますから、専門的なことはご容赦下さいませ。
動画
3月24日
動画で振り返ると、生死を彷徨った感じには見えないくらい、歩いたりしていますが、実は高さ15センチ程度のマットレスに登る体力がなくなっていました。
4月8日
まだまだ、体力はありませんが活力を感じるようになりました
4月10日
力強くはありませんが、ワンワン言うようになりました。
4月26日
ママが帰って来るとわかると、元気よく吠えれるようになりました
5月6日
寝床づくりも出来るようになりました
5月29日
吠え方が違います
6月19日
ご飯が待ち遠しくて、もう要求が凄い
6月27日
6月30日
この時は力強く吠える蔵之介の姿が嬉しくて嬉しくて